長編

□第十六訓 働かざるもの食うべからずっていうけど働くにはエネルギーがいる
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「すまん…ああっ!」


男は悲痛な叫びをあげた。



すぐ近くにあのほら、よくドラマとかでラーメン屋が出前するときにもってくる銀の箱、あるじゃない?アレが転がっていた。




「届けねば…幾松殿に叱られる…くそっ」




「何でこんなに血まみれなんですか?」





事情を聞いて見ようと思った。


「クッ…すべてはアレが間違いだったのだな…」

***



〜回想〜



俺は塀の上にアイツを見つけた。






白い毛並み、愛らしいしぐさ、そして何より…




プニプニとしたに・く・きゅ・う…/////





俺はどうしても触りたかったのだが、こいつ、なかなかツンデレというやつでな。

プイとそっぽを向いて向こうに行こうとしたのだ。




「待て!おぬしの肉球にちょっとだけ触れさせてはくれんか!」




しかしせがめばせがむほどツンデレなあいつは逃げてしまう。






仕方ない、ちょっと失礼して…




俺は出前用のケースを手に、塀に登ろうとした。中には幾松殿が最近メニューに加えた「カレー」が入っていた。



それがいけなかった。




俺は、思い出したのだ。



リーダーの命令を。






『ダメアルヨ!離しちゃ!お前はそれをこぼすと死ぬからな!』

『ルージャ!』




「リーダー!そうだった、俺はカレーをこぼしてはいけなか…うがあああああああああああ!!」



***




「…というわけでな」


…いや知るか!



要は出前中に猫に気をとられて塀から落ちたってこと!バカじゃないの!?それでクッ…とか言ってんの!?





「猫に気を取られたんじゃない、肉球に気を取られたんだ!」

「どーでもいいわ!」
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