長編
□第十八訓 家に帰るまでがおつかい
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俺は正直稽古なんざしたくなかった。
出来ればアイツに合うことすら避けたかったのに
気がついたら無理やり葉月
を道場に連れて行き、無駄にしごいている。
「そんなんじゃあっさり斬られちまいますぜ」
…違う。葉月、あんたはずーっと強くなった。俺が認めるんだから、違いない。
何度はっ倒しても何本とっても「次、お願いします」と真剣に頼んでくる姿に
俺は…
……上司と部下、それ以外には何の関係もありませんから。
認めたくなくて
聞きたくなくて
何より真っ向からそれを言われるのが怖くて
俺はこんなことを言った。
「…無駄ですねィ。これ以上やったって変わらねェなあ」
「…すんません。」
いじめたくなった。
ほんの少しの俺のS心。
それが災いした。