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□誇り
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人との関係を真剣に考えるって
難しいわ。
私を大切にしてくれるあの人でさえ
本当のところ私をどう思っているか
わからないわ。
ましてや私を蔑む
たいして親しくもない彼らが
私をどうしたいかなんて
わかるはずもないのだわ。

人に合わせて無理に
作り笑顔をするくらいなら
一人きりでいた方が
よさそうなものだわ。
とっつきにくそうと
判断されたらされたで
なお肩を叩いてくれる友人も
いそうなものなのにね。

人と人との間に
漂っているだけの人になんて
なりたくはないわ。
何のために
この顔で声で言葉で
生きているのかしら
こんな私でもこんな私だからこそ
愛して憎んでくれる人がいることを
誇りに思うべきだわ。

だけど私の生き方は
人にはうまく伝わらないものだわ。
だからこうして詩にしたり
別の形で書いたり話したり
行動で表してみたりするんだわ。
それでも伝わらなかったらなかったで
人の中には
取り違えられた私が住んでいて
でもこの私はこんなふうに
生き続けようと思うわ。
せめて死ぬ時まで
私を大切にする人にも蔑む人にも
私という私を貫き通して
生き続けることで
このちっぽけな誇りをかざすわ。

精一杯、誇ろうとする私を
誇りに思うわ。
〈END〉

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