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□sun flower
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太陽を間近で見たいと岳人は言った。
だから、誰よりも高く飛ぶのだと。

だから、私も太陽を間近で見てみたくなって、思わず両手を太陽に向かって伸ばす。
だけど届くはずもなくて、清々しい位に空を切った。

「なぁ、知ってるか?」

いつの間にか隣には当たり前のように岳人が居て自信満々に言い放った。

「向日葵はいつだって太陽に向かって伸びるんだってよ。」

だからどうしたと言うでもなく、岳人はそのまま跳びはねながら遠ざかって行く。
あたしはその続きがどうしても気になって、太陽へと伸ばした腕を下ろして、幾分小さくなった岳人の陰を追う。

岳人の隣に追い付いた時には、ジトリと肌が汗ばんでいて、夏の訪れを表していた。
あたしは、額に浮かんだ汗を手の甲で拭ってチラリと視線を岳人にやると、
あまりにも岳人が赤い顔をしているものだから、思わず笑みをこぼす。
岳人が照れ隠しをするように、あたしの頭をポンと叩いてまた歩きだすものだから、あぁ幸せだ、と思わずにはいられなくて、先程より歩くペースが遅くなった岳人の隣に並んで陰を重ねた。






sun flower

(俺が太陽まで飛んで行くから、お前は地上で俺を待ってろなんてぜってぇ言えねぇつの!!)








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