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□“愛してほしい”
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“愛してほしい”と願う。
ただそれだけの行為が、私の体を傷つけていく。
「お・・・か、さ」
名前を呼べば、ほら。
首に回された手に力がこもる。
この人から愛情をもらったことは一度だけあった。
けれど、それと比べ物にならないくらいの憎しみが、私への暴力として繰り返される。
あぁ、この人に殺されるのだ。
どうしてだろうか。
涙は出ない。
大切だった、この人が、
罪に囚われなければいいと心の片隅で思う。
意識が朦朧とするけれど
コレだけは伝えなければと
必死で声を。
「あ、が・・・と」
そこで、プツリと
私の命の糸が切れたのだ。