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□たどたどしい恋だった
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お互い、初恋で。

付き合ってからも、ほとんど進むこともなく。
名前呼びも、手を繋ぐことにすら
照れる。

付き合って一年、初めてキスをした。

真っ赤な顔で、目を閉じるよう促され
ゆっくりと近づく顔に、焦ったのを覚えている。

だけど、今までユウジとしたどのキスより甘かった。
私の彼氏は、すぐにモノマネに逃げてしまうから。

だけど、それを鬱陶しいと思ったことは一度もない。
だってそれがユウジだから。

たまに喧嘩もしたけど
仲直りをしてここまで続いている。

今では、普通に手も繋ぐし
キスもするけど

やっぱり、たどたどしかったあの頃が
幸せだった。

・・・私寂しいのかな。

最近、ユウジが私をかまってくれないから。
だけど、構って、なんていえない。

「名前っ!」

そっと振り返ると、息を切らしたユウジ。

「今度の日曜、空けとけ!デートしたる!」

大声で叫ぶものだから、恥ずかしい。
だけど、嬉しい。

私は、たどたどしく呟いた。

「ありがとう。」








たどたどしい恋だった

たどたどしくても

何よりも

幸せな

一時













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