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□残念ながらべた惚れ
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名前は俺を、飄々としてるから分からない。というけど
俺はこんなにもお前さんを愛しとるよ。
いつだって、口にだせないだけじゃ。
名前が、傍にいる。
それだけでなんもいらん、って
本当はこの世の何より好いとうよ、って
口に出せたら、いいのにな。
いつも、口から出るのは“プリっ”だけじゃ。
「ねぇ、雅治は私のこと好き?」
「そうじゃのぅ・・・当ててみんしゃい。」
ほら、たまにマジメに返せば
素直じゃない言葉。
だけど、残念。
悪いけど“好き”じゃない。
不安そうに俯く顔も
ギュッと力を込める手も
速度が落ちる足も
全部全部、
“愛しとる”。
悪いが、それも違う。
そんなんじゃ足りない。
言葉にできないほど、
大切にしとうよ、名前
残念ながらべた惚れ
残念じゃったな
“好き”じゃない。
これ以上ないほど
“愛しとる”