U

□あの一瞬のキスを
1ページ/1ページ


彼に向けられる笑顔が妙に悲しくてギュッと胸の前で手を握った。

私が見ることのできる不二くんの表情は笑顔、だけ。

本当はもっと。
違う表情が見たいのに。

「名字さん?」

そう言って覗き込んでくる彼の表情はやっぱり笑顔。

彼氏でもない彼と一緒に居たい、だなんて。
たくさんの表情を見たいだなんて。

私の我が儘だろうか。

「不二くん。私ね・・・」

あなたの事が大好きです。

そう呟いた瞬間に
そっと私の唇と彼の唇が重なった―――









あの一瞬のキスを

忘れられない

忘れたくない









[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ