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□約束のキスだけ残して
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空港。
賑わいの中一人の少年が消えていく。
そんな夢を見た。

その少年は生意気で、テニスが好きで年下の、私の彼氏。
なんだか胸騒ぎがして急いでベッドから飛び起きリョーマの家へと向かう。

お願いだから、正夢にならないでとそんな願いもむなしく、目の前の現実の彼からは非常な言葉がこぼれる。

「俺、アメリカ行くから。」

なんで来たのかを問うこともなく、まるで会いに行く手間が省けたとでも言うようにさらっと。

許せないとか、悲しいとかそんなことより悔しかった。
何の相談もなしに私を置いていくと決めてしまったリョーマ。
そんなにも私は頼りないのかと、悔しかった。

「帰ってくるよね?絶対、帰ってくるよ、ね。」

暗に行かないでと言ったつもりなのにリョーマは満足げに口角を上げて笑った。

「名前に付き合えるのは俺だけだからね。」

その笑顔が私との未来を微塵も疑っていないものだから、思わず私もつられて笑った。






約束のキスだけ残して



数日後。空港。

賑わいの中少年は見送りに来た少女にキスを落として旅立った。

『ちゃんと待っててよね。』

そんな約束がそこにはあった













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