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□夏休みの教室へ
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補習。

そんなものは名ばかりで、繰り返されるのは大量のプリントの提出期限。

もともとそんなに成績も悪くない私が補習を受けているのは、もちろん自主的に参加したからで、それにはちゃんと理由がある。

会えるのだ、学校に来れば。
彼に向日に。

右手をひたすらにプリントに走らせ、視線はばっちり窓の外。
先生も文句は言わない。
プリントはきちんとやっているし、そもそも補習を受けなくていい生徒だから。

だから私もそれに甘えてグラウンドから赤い頭を探す。
それはいとも簡単に見つかって、今日も何が楽しいのかぴょんぴょん跳ねて。

それがたまらなく、好き。

春に桜がつきもののように、
夏に海が定番のように、
私には向日の笑顔が当たり前の日常なのだ。

思わずプリントを走っていた手を止めて、彼を凝視した。

すると向日はこっちに気づいて校舎へと近寄って来る。

「おーい!名字ー!」

向日の声につられるように窓を開けると、むわっと夏特有の生暖かい風が頬を掠めた。

「頑張れよー!」

向日はただ一言そう言ってコートの中へと戻っていく。

秋は紅葉が風情なように、
冬に雪が降るように、
それは私にとって美しいと感じる出来事で。

窓を開けたまま必死に赤くなった顔を隠す。

(そんなの・・・反則・・・っっ)







夏休みの教室へ


今日もまた

彼を探すため

足を向けるのです












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