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□第二理科室
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ガラっと音を立ててドアが開く。
普段から人が寄り付かない第二理科室。
そこに俺はよく訪れる。

「・・・また来たの?」

呆れたように眉を下げて笑う彼女に会いに。

「名字さんが教室でも俺の相手をしてくれるなら来なくてもいいんだけどね。」

言っている傍から自らの言葉に偽りを感じて笑う。
案の定彼女にも嘘つきと笑われてしまった。

その笑みにつられるように図々しくも俺は彼女の前に陣取った。
理科室特有の広い机。
それが少しもどかしく感じる。

「何も目の前に来なくてもいいのに。」

彼女はもう一度眉を下げて微笑み、俺の相手に飽きたのか持っていた本に視線を向けた。
これもまた、いつものこと。
それなのに今日は少し物足りなさを感じてしまったから彼女が嫌がることを分かっていて声をかける。

「ねぇどうして名字さんはいつもここに来るの?」

本なら教室でも図書室でも読めるだろ、と。
正直無視されると思っていた。のに。

彼女は本から視線を俺に向け一言。

「それはね、滝くん、」




第二理科室



「ここに来ればキミが構ってくれるから。」

ニコリと笑った彼女に

ガラにもなく、照れてしまった













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