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□この熱は誰の所為?
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「謙也ー次はあれやでー!」

そう言って名前は当たり前とでも言うように机の上のノートを指差した。

まぁ、あれや。
100歩譲って、俺がノート運ぶんはええわ。
国語係でもない俺に運ばすんもまぁこの際ええ。
せやけどなんで名前は腕組んで机に足乗せて偉そうに踏ん反りかってんの?
しかもその机、俺のやねん。

いい加減にせえ!!!!

・・・とか、言えるはずもなく。

「どこ持ってくん?」

とか言ってしまう、俺。

「んーと、職員室やったような気がせんでもないような気がせんでもないわー。」

「いやいや、どっちやねん!!」

俺の言葉におもろないわー職員室と言ってそっぽ向く。
ほんまなんやねん。

「あ、せや。」

ノートを抱えて教室を出ようとした瞬間不意に名前に呼び止められる。

「謙也、いつもほんまありがとう。」

そう言ってにかっと笑った名前は俺が居たほうの入り口とは逆の方から教室を出て行く。

また明日なーとか、言ってたような気がせんでもないけど
正直今の俺にそんなことはどうでもええねん。

「・・・ほんま、何なん。」

思いっきり赤くなった顔を片手で隠すように覆ってへなへなと入り口に縋る。

自分勝手やし、御礼なんか今の今まで言ったことなんか一度もなかったやん。

せやのに、今日は・・・とか。

「・・・不意打ちはほんまあかん。」

かわいいと思ってしまった自分も
俺に見向きもせず出てった名前も
ほんまあかん。

『いつもほんまありがとう』

頭の中で何度も繰り返される言葉。
ノートが何冊か地面に落ちた音で我に返った俺は、急いでノートを拾い上げ職員室へ向かう。

顔に集まった熱を振り払うように、と全力で走ったのに冷める気配なんて一向になくて。

(あぁ、これは・・・)







この熱は誰の所為?


お前以外ありえへん!ちゅー話や!!!!!













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