U
□からかいのまなざし
1ページ/1ページ
目つきが、悪い。
金色にベタ惚れ。
加えてあたしに興味がない。
以上3点から導き出した結論、あたしは一氏に女として見られていない。
「と、思うんだけど?」
「目つき悪いんは関係あらへんやん。」
はぁ、と目の前のコイツはため息をついた。
幸せ逃げるぞーとからかってやるとちょっと強めに小突かれた。
「それより、それ本人に言ってどないしてほしいねん。」
目の前の一氏はやっとあたしの方を向いた。
気付いて、ないのだろうか。
あたしが必死にこちらを向かせようとしていたことに。
「・・・ちょっと意識してくれればええんちゃう?」
ほろっと零れてしまっただけの泣き言を、どうしてこうもコイツは拾い上げるんだろうか。
「そんなんだから、モテないんだよ!!」
特に気にしていないと言う様にあたしはわざとカラカラと大口を開けて笑ってやった。
すると目の前の一氏は顔を真っ赤にして怒り出す。
それでも尚笑い続けるあたし。
それで、いい。
少しだけあたしに感情を出してくれればそれで満足だ。
「・・・そのモテへん男に惚れてる名字はなんやねん!」
一氏は言ってから、しまったというような顔をする。
ソレがまたあたしの笑いを誘うものだから、あたしの笑いが止まることはない。
「君がモテないからあたしが好いてあげてるんだろ!」
笑いすぎで出てきた涙は目を見開いた一氏の姿を歪めていた。
からかいのまなざし
ほら、あたしのことを意識しだしてる