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□こんな雨の日には
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目の前をしとしとと雨が濡らし、その少し先を男女が同じ傘に入って横切る。
ほんと、バカみたい。
靴箱で立ち往生してる私と
ほんのり頬を染めて帰ってゆく彼女との違いはなんなのだろうか。
そんなの、簡単。
意中の相手と両思いになれたか否か。
「仁王がいたらなぁ・・・」
私もきっとあんな風に頬を染めて帰ってゆくだろうに。
少し嬉しい。
不意に、トントンと誰かが肩を叩く。
振り向くと、頬をつん、とつかれた。
「なんじゃお前さん。立ち往生か?」
サラリと綺麗な銀髪が視界を掠める。
「に、お・・・う・・・?」
私の声を聞いた仁王は、傘立てから不意に黒い傘を抜いた。
「ほれ、入りんしゃい。名前。」
その言葉に私の頬は色づいた
こんな雨の日には
相合傘もいいかもしれない