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□君を待つ雨の午後
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部活終わりの日曜日。
雨のおかげでミーティングのみになったはずの運動部を待つ。
柳くんに無性に会いたくなって思わず家を飛び出したけど・・・
少し、寂しい。
聞こえる音と言えば、雨の音、だけ。
この世界には私しか居ないのではと、無意味に思考を巡らせた。
寂しい、寂しい。
カランと足元の小石を蹴って踵を返す。
柳くんも、きっと迷惑だろうから。
「随分と気まぐれなのだな。名字。」
不意に聞こえた声に半ば反射的に振り返る。
「やな、ぎ・・・く、ん?」
なんか、不思議。
さっきまで、寂しいとしか思えなかったこの空間が
柳くんが居るだけで愛しくて。
傘の分だけ離れてしまう、
彼との距離が酷くもどかしい。
「もう少し・・・近づいてもいいか?」
彼の言葉にトクリと
徐々に加速しといく心拍数が妙に心地いい。
明日の天気も雨、がいいな。
なんて、ね。
君を待つ雨の午後
明日も、待っていたい。
そう伝えると
柳くんは
“それなら毎日一緒に帰るか?”
と笑った。