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□降りしきる夜雨
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サァァアア―――

静かな夜に雨が降った。
黒い空に雫が落ちた。

その雨が私には酷く印象的で、ふと部屋の窓から外を見やる。
夜遅いこともあり人気は全くと言っていいほどない。
ソレなのに、黒い景色に一つ星が瞬いた。

それは、銀色の光を放つ星だった。

「・・・綺麗。」

私の家の前を、こんな夜遅くに傘も差さずに歩く姿に目を奪われて気付いたときには傘を握って寝間着のまま駆け出していた。

「あのっ!!」

私の声に星は振り向く。
そこでやっと顔が見えた。
綺麗だ、とただ単純にそう映る。

星のような、人。
私の印象は間違ってなかった。

「・・・なんじゃ?」

すっと黒い世界に溶け込む声、銀色の髪
綺麗な髪の輝きさえも引き立て役としてしまう光をもった目。

「よかったら、傘、どうですか。」

目を逸らしてしまうのが勿体無いと、そう思ったのは初めてだった。

「そこの家、名字の表札、そこに返してくれればいいですから、だから。」

我ながら支離滅裂な言葉だと思う。
それだけにこの人の纏う光が眩しい。

「ありがとな。」

降りしきる夜雨の中、一つ瞬いた一番星はくるりと踵を返して行った。
そういえば名前を聞くのを忘れていたと気付くのは部屋に戻ってからだった。








降りしきる夜雨




あの日輝いた一番星は

仁王雅治というのだと、

風のうわさで耳にした

















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