V
□Three
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カランカランと、これまた可愛らしい音を立てて開かれた、扉をくぐりぬけると
派手な赤髪さんと、さらさらした、黒髪さんがいた。
その、制服にはやはり、見覚えがある。
さらに、その肩には、ラケットと思わしきカバン。
・・・今日は、やたらとテニス部員に会うな。
嫌なわけではない。
むしろ嬉しい。
あんなにキラキラしてる人たちを、真近で見られるのだから。
だけど、馴れ馴れしく声をかけるのも非常識だとためらわれた。
ワクワクとはするけれど。
私は、その二人をスルーしてカウンターに向かいショートケーキを注文して、店内の椅子に腰掛ける。
「相席してもかまわないか?」
突然、上から声がして、さも当たり前と言うような態度で私の隣に赤髪さんが腰掛けた。
・・・私、まだ返事してないのに。
「どうぞ。」
気分はまさに、帽子屋さんとお茶会をするアリスの気分だ。
ワクワクと、それでいて複雑な心境。
アリスもそうだったのだろうか。
私は、目の前に座った黒髪さんを見つめた。