V
□Intreval
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アリスは、ぱたりと本を閉じました。
“続きを読むのは明日にしよう”
そう心に決めて。
今日の登場人物は、
鮮やかにアリスの心へと、刻みこまれたのです。
似ているようで、似ていない
トゥルードルディーとトゥルードルダム。
楽しそうにお茶会を開く
イカれ帽子屋と3月ウサギ。
けれど、アリスは物足りませんでした。
もっと、もっと、と。
たくさんのキラキラした人に出会いたいと願っていました。
その時、アリスは知らなかったのです。
物語の主人公が自分だと言うことに。
そして、アリスは泣くのです。
“このキラキラした人たちに私は不釣合いだから”と。
この運命を変えるのは、
とある一匹の猫でした―――
早咲夢羽・著『テニスの国のアリス』より抜粋