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□涙を止めて
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ポタリポタリと、私の足元を涙が濡らしていく。

私は今日、失恋したのだ。

“みょうじ”と呼ぶ、低めの声の柳君が大好きだった。

優しくて、意地悪で。
ただひたすら、テニス一筋と思わせる彼が大好きだった。

だから、お願い。

私の傍にいて。
お願いお願い。

一言で言ったら嫉妬、なのだ。
柳君の彼女となった少女への。

その子が憎らしくないと言えば嘘になる。
私はそこまで綺麗な人間ではないから。

今日に限って、空は晴天。
それが余計に私を汚く見せているようでかなしい。

「や、なぎくん・・・っっ」

通学路で大泣きしてる私は随分と恥ずかしいヤツではないだろうか。
そんなことも気にならないくらい、苦しい、悔しい。

あぁ、本当に私は醜い。

素直に柳君の恋が叶ったことを祝福してあげられないのだろうか。

「みょうじ。」

ふいに、後ろから、
今一番聞きたくて、一番聞きたくなかった声がする。

こんな酷い顔じゃ振り向けなくて、足だけを止めると、次に来たのは温もりだった。

「お前が好きだ。」






涙を止めて
失恋は私の勘違い













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