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□愛しい色
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“好きな色は何色っスか?”

いきなり聞かれた質問に、反射的に“赤”と答えた。

すると、余りにも無邪気な笑顔をするものだから、
“赤”じゃなくて“紅”よ。と口にする。

見るからにしょぼんとした切原くんは、本当に可愛らしい。

本当に、あと一年生まれるのが遅かったら、素直に“赤”といえるのに。

「みょうじ先輩!なら、好きな言葉は?」

柳くんにでも、データ収集を頼まれたのかしら。

“好きな言葉”と言われても困ってしまう。

貴方に関係する言葉は、全て直球過ぎるから。

悪魔
立海の2年ルーキー
ワカメ

どれも分かり易すぎる。

他に、なにか・・・

途端に一つ思いついた。

しょうがないから、伝えてあげる。
大好きな色の入った名前の貴方の為に。

「“切なくも野原は焼け付くような赤也”」

“せつなくものはらはやけつくようなあかなり”

首を傾げる切原くんに、ヒントをあげようか。

「柳くんに聞いてみて。きっと分かるよ。」

私は、走り去った彼の背中をそっと見送った。

「“切なくも野原は焼け付くような赤也”・・・好きな言葉は“切原赤也”なのに。」

クスリと零れた笑い声が廊下に、そっと吸い込まれていった・・・





愛しい色

要は、貴方が好きなのよ。

切原赤也くん






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