short

□ねぇ、責任とってよ。
1ページ/1ページ


「なまえさん。」

最近よく聞く声に振り向く。

黒髪ピアス。
財前光。
ついでに言うと1つ下。

「どうしたの?」

3年の階に居るなんて珍しいね、というと
ほんの少しだけ彼の眉間にシワが寄った。

「あんときの告白、無かったことにしようとしてません?」

彼の言葉が胸に刺さる。
そう、少し前に私は告白された、彼に。

でも今更恋愛になんか興味が無くて、
彼が私を好きになってくれたことに申し訳なく感じて
断った。

でもね、あの時嬉しかったんだ。
なんでだか分からないけど。

「アレ、忘れてください。今日はそれ言いにきたんすわ。」

彼の言葉に思わずえ?と聞き返す。

「だから、俺はアンタのこともう好きでもなんでもない。」

ドク―――ン

いや、だ。
振ったのは私だけど、
自分勝手なのも私だけど、

「嫌だよ、もっと好きでいて、よ。」

無意識に零れた言葉に目を見開く。

何で?
彼のことを好きでも何でも無いのなら、
好きで居てくれなくてもいいのに。

行き着いた答えはただ一つ。

好き

「ねぇ、責任とってよ。」

私、財前くんのこと好きになっちゃったんだから。

「貴方のこと、好きに、な、っちゃたんだか、ら・・・っ!」

涙ぐむ私を見て、彼がにやりと笑ったのを
私は知らない。






ねぇ、責任とってよ。

返ってきた言葉は

“当たり前や”

のたった一言
















[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ