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□何も言わずにただキスを
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「侑士。」
隣でニコニコと胡散臭い笑みを浮かべる私の彼氏を呼び止めた。
いつもそうだ。
彼の考えが私に読み取れるはずもなく、ただ不安だけを私は抱える。
「侑士。」
私はたまらなく不安だよ。
だって貴方はモテるから。
いつか、私のことなんか気にしてくれなくなるんじゃないかって
みょうじなまえという存在さえも忘れてしまうのではないかって。
「侑士、侑、士・・・っ」
侑士の名をひたすら繰り返し紡いで泣きじゃくる私に、
彼はそっと、キスをした
何も言わずにただキスを
どんな言葉で慰められるより
ただ甘い甘いキスが
私を安心させてくれるの