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□だってキミが欲しいから
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「なまえ〜」

俺が名前を呼ぶとソイツはガバッと両手を開いて飛び込んでおいで!と何とも反応し辛いリアクションをとる。

まぁ、いつものことだと半ば諦めて何かくれとねだると当たり前のように懐から取り出されるチョコレート。
俺が言えることでもないけど、何で持ってんだよ。

受け取ったチョコレートを口に含むとふわっと広がるカカオの苦み。

(苦い。)

“何かくれ”

俺、食べ物なんて限定してねぇのによ。
それでもなまえのくれるもんは食べ物ばっかなんだよな。

食べ物が欲しいわけじゃない。

まぁ、もらえると嬉しいけど。

「なぁ、何かくれよぃ。」

口内でチョコが溶けたことを確認して口を開く。

俺の言葉でなまえがポケットをあさり出したのを確認して、否定の言葉を押し出した。

「やっぱいい。」

え?と首を傾げるなまえに仁王直伝の満面の笑みを送ってやった。

「やっぱ、お前くれよぃ。」

一気にカアッと顔が赤くなるなまえは俺以上に単純で馬鹿なんだと思う。

でも、やっぱこういうのは惚れたモン負け。
赤くなったなまえに見とれた俺も、多分今顔赤い。

それでも、人間って奴は現金なもので、意識せずとも紡ぐソレ。

「なぁ、くれんだろぃ?」

口を開けたままコクンと頷くなまえは酷く滑稽で、酷く愛しい。

チョコと一緒に溶かした言葉をそっと咀嚼して飲み込んだ。

(・・・好きだぜぃ。)

口内にほんのりと残った苦いはずのカカオの香り。
それが、今だけ、少し甘い。






だってキミが欲しいから



「しょうがないからブンちゃんの手作りケーキで手を打つよ。」

そう言って笑ったなまえの頭をコツンと小突いた。

ケーキは少し甘さ控えめに作ろう、とか考えてる俺がいる。

だってきっと、コイツと食べたらこれ以上無いくらいに甘いから。

(“何か”なんて結局は“お前”しかいらないっての。)

そのためなら、飛び切り上手いケーキを焼くしかないだろぃ!







*卵様
さて特にリクエストが無かったんで卵のそのままの性格で書いてみました!
どう・・・?
一応この前のお礼です。
いつも振り回してごめんね^^;;
そしてこれからも振り回されてください←
また良かったらリクエストしてね^^





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