夢小説

□新選組のとある一日
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「ふ…ふふっ♪」



ここは新選組の屯所、西本願寺のとある廊下。
名無しさんは何を思いついたのか今日一日笑みが絶えなかった。




「やっと手に入ったんだから…」


そんな独り言を言いながらある一室に入っていく。


この部屋にいる者達はこの後どうなるかも知らず…。






<新選組のとある一日>








「おぉ!ありがとよ名無しさん」
今日は宴会。

土方さんの話によると何かの仕事で成功し報奨金をもらったそうな。

だが今の名無しさんにとってはそんなことはどうでもよかった。


「あ、名無しさん。酒頼めるか?」
「平助君?!そんなに飲んで大丈夫なの!?」
「大丈夫だって〜。」
…大丈夫には見えないような。

とりあえずご所望のお酒を出す。





お酒や食事を出し入れしていたせいで、気がついたらほとんどの人が酔っ払っていた。


「(そろそろ…これの出番かな。)」
名無しさんは懐にあった物を取り出し後ろにかくした。







───ガラッ…───


「み、皆さん…大丈夫ですか?!」
取ってつけたような台詞だが、酔っ払っている幹部の人達は気がつかないでいた。



「俺ァ大丈夫だ…。名無しさん!酒!酒はないのか?!」

「酔っ払ったことに便乗して名無しさんちゃんに手を出さないでくださいよね?」
笑みが黒い沖田さん。
…酔ってないみたい。


「平助。もうやめておいたらどうだ?」
…斎藤さんも酔ってない。

「俺も大丈夫だよ!それより新ぱっつぁん!!起きろよ!」
平助君と永倉さんは完璧目が据わっている。

「平助、そっとしておいてやれよ。いくら新八にでも流石にそれは…。」
酔っている平助君をなだめる原田さん。

原田さんも酔ってなさそう…。






でも






チャンスは今しかない、よね。







そう思った名無しさんは後ろに隠していたものを取り出した。


「皆さん!…これはなんでしょう?」
微笑みながら話しかける。

手に……隠していたものを持って。






「…。」
土方さんはどうやら寝ているみたい。

「…?猫耳、であってるよね?」
流石沖田さん…。

「猫、…耳?」
斎藤さんは目を大きく見開いている。
始めてみる物らしい。

「…。」
「…。」
もちろん平助君と永倉さんも寝てしまっている。

「なんで猫耳がこんなところにあるんだ?」
原田さんはかなり鋭いと思っていたが今日は特別、そうでもない(←)。




「ねぇ?まさか……その猫耳、名無しさんちゃんがつけてくれるの?」
沖田さんのその一言に斉藤さんが顔を真っ赤にする。

「ち、違いますよ!!逆です!」

「逆…?」


この答えにはかなり驚いた様子だ。


「そ、そうです!皆さんにつけてもらうんですよ!」

「そりゃまた…どうして?」
原田さんが首をかしげている。
内心ではわかってそうだなぁ…。


「それは…っ。私が見たい、というか…。」
意気込んでいたわりに段々声が小さくなっていく。

「ふぅん?なら、協力してあげてもいいけど?」
なんだか笑みが黒い沖田さん…。
だけど一応ここはお礼をしておく。

「あ、ありがとうございます…。」


「…///」
…斎藤さんはまだ顔を真っ赤にして目を見開いていた。…大丈夫かな?


「さぁ…じゃあまず誰からいくか?」
何故か原田さんも乗り気だ。

「此処は…まず言いだしっぺの名無しさんちゃんからだよね?」

…はめられた。
だがもうなにも言い出せないような雰囲気。

「わ、わかりましたよ…。」
しぶしぶ頷いて猫耳をかぶる。



「…///」
斎藤さん、本当に大丈夫かな…?

「ほぅ?可愛いじゃねぇか。」
髪をわしゃわしゃと撫でてくる原田さん。

「そのまま『にゃあ』って言ってくれたらもっと嬉しいのになぁ…」
折角、人が猫耳をつけたのに文句を言う沖田さん。
早くも猫耳をつけたことに後悔する。




「じゃあ次は誰がつけますか?」

「…」
「…」
「…」
反応がない。

「あ、あのっ「ちょっとその猫耳、貸してくれる?」あ、はい。どうぞ…」


沖田さんが付けるのかな…そう考えていたがやはり結果は違った。

「はい、これ、どうかな?」
クスクス笑っている沖田さんには悪いが全く笑えない…。

「沖田さん、あの…とった方が。」

「総司、殴られてもしらねぇぜ?」

「総司…。」

斎藤さんは呆れているのだろう。溜息をついている。

それもそのはず。



沖田さんは寝ている土方さんに猫耳をつけたのだ。



これはこれで可愛いとは思うが、起きた土方さんに怒られるのは間違いない。


「ちぇ…。いい考えだと思ったのになぁ…」
しぶしぶ猫耳を外す沖田さん。
なんだか安心してしまった。


「だったら…さ?」
猫耳を持った沖田さんがにやにやしている。
なんがか悪い予感がする。

「お…沖田さん?」

「はいっ」

「…//!?!?」


一瞬にして沖田さんが斎藤さんに猫耳をかぶせた。


なんだかんだ言って新選組の幹部の面々は顔立ちが整っているのだ。

…似合わない、はずがない…。

「か、かわっ…///」
見てるこっちまでも恥ずかしくなってきた。

「へぇ?一君、似合ってるじゃない。」
にやにや度がMAXの沖田さん。

「斎藤は美形だからな。」
原田さんは苦笑して見ている。




──ぎゅっ──

気がついたら名無しさんは斎藤さんに抱きついていた。

「?!?!///」
斎藤さんは混乱しはじめている。

沖田さんと原田さんもこれには驚いていた。

「名無しさん…ちゃん?」




…そう。
名無しさんは抱きつき癖があったのだ。
それも…かなりの。





「へぇ?なるほど。」

それを理解した様子の沖田さん。

ひょいっと斎藤さんから猫耳を奪い、自分につける。

「お、沖田さん!?」

「どう?名無しさんちゃん?」

…?!//


──ぎゅっ──


「一君だけにいい思いは味合わせないよ。」
黒い笑みでそう告げる。

しかし…名無しさんにはそんな言葉、もはや通じない。


「ちょ、総司、ずりぃぞ!!」
原田さんも沖田さんの猫耳に手を伸ばす。


「あっ…わわわ…。」

沖田さんが動くせいで抱きついていた名無しさんも揺れる。

















…そんなこんなで、夜が明けた、新選組の一日…──。


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