夢小説
□貴方がいるから
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「きゃあああああああああああああ!!!!」
今日も響く──…。
<貴方がいるから>
「ま、まさっ、政宗ぇええ!!」
「What!?」
「たす、けて…」
「Hey,honey一体なにがあったんだ?」
いきなりすがりついて来た、幼馴染兼彼女である名無しさん。
涙目でなにかを訴えようとしていた。
「む、虫よ!それも蜘蛛!玄関にっ」
どうやら政宗が名無しさんのためにお菓子を用意していた時、玄関に蜘蛛が出たらしい。
「Ahー…名無しさんは虫が苦手だったっけな…。」
昔のことを思い出しながら名無しさんの指差す玄関に向かう。
「そ、そこっ」
名無しさんはよっぽど恐いのかドアに隠れながら政宗に指示を出す。
「An...?此処ら辺か?」
「そう…そこらへん…。いな、い…の?」
「見あたらねぇが…」
「ええええええぇえぇぇえ!?」
よっぽど蜘蛛が嫌いなのか、その場にしゃがみ込んでしまう。
「いきなり出てきたらどうしよう…」
もごもごと独り言を呟きながら震え始めた。
見るに耐えかねた政宗が名無しさんに後ろから抱きつく。
「Spiderが出るのが嫌ならずっと俺と居ればいいってことだろ?」
口角を上げながら名無しさんの耳に低いアルトボイスで囁きかける。
名無しさんは身をよじりながら顔を真っ赤にさせ、小さくコクコクと頷く。
「Ha!今日はやけに大人しいじゃねぇか?」
「そ、そりゃあ…」
顔を真っ赤にしながら言い訳をし始める名無しさん。
そんな名無しさんが愛おしくて額に口付けをする。
「ま、政宗…」
まるで茹蛸みたいに真っ赤にさせ体を反転し、政宗の胸板をポカポカ叩き始める。
「Ha!そんな攻撃、痛くもかゆくもねぇぜ?」
「んーーー!!」
「いくら力を込めても無駄だからな」
「うぅ…」
やりとりは夜まで続く──……。
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