夢小説

□雷に感謝
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──…ゴロ…

最近、よく雷がなる。
”台風”というやつだ。






























──…ゴロゴロ…


「…っ」ぴくっ。

私は昔から雷が苦手だった。
小さい雷ならまだしも大きい雷はいつ自分のところに落ちてくるかわからない。

…そんな私の住んでいる東京には最近台風が近づいてきているようで。


ピカッ
──…ゴロゴロ…

「ひ、ひぅっ」

私のコンプレックスの中の一つ。
大きい雷が鳴るとだんだん声が漏れてきてしまう。






そして私は今平坂組の事務所にいる。
私の彼氏である雛村壮一郎こと壮くんが此処の組の組長だからだ。



──…ゴロゴロッ

「ひぇぇえ…」


「おい、大丈夫かよ?」
そんな私の様子を気にかけてくれる壮くん。
頬が緩みそうになるのをおさえながら

「う、うん…大丈夫…大丈夫…」


「全然、大丈夫には見えねぇよ。…ほら、立て」

「どこか行くの?!」
こんな雷の中外に出るのはかんべんしてほしい。
願わくば雷が止むまで此処にずっといたい。



「あ?…家に帰るんだよ」

言い忘れていましたが私名無しさんは壮くんと同居しています。べ、別に変なことなんかしてないんだからっ///


「どうしてー」
泣く私をひきずって壮くんは平坂のビルの外へ出る。




…そして乗ってきた車に乗る。
無論私も。


──…ゴロッ
そうしているうちにも雷は鳴り続けていて。

「ひぁっ」

「恐いんだろ?雷が」

「そ、そうだけど…」







「どうして家に帰るの?」

「…だから…恐いんだろ?」

質問をしたのに質問で返されてしまった。

「そうだけどさ…」


「だから…こういうのって家にいた方が安心するもンなんじゃねぇのか、って」

「あ…」
確かに壮くんの言う通りだ。
そしてそう考えると壮くんは私のためを思って家へ行ってくれているのだ。





「ありがとう、ね。壮くん…」

「あぁ」
それだけ答えた壮くんの横顔はちょっと赤みが差していて。不覚にも可愛い、なんて思ってしまった。








家に着いたとたん、ぎゅーっと抱きしめてみる。

壮くんは驚いた顔を一瞬見せた後、抱きしめかえしてくれた。
「へへっ//」
そんな声をあげるとデコピンされる。



そんなやりとりがとてつもなく幸せに感じる。
こんなのも悪くない。















雷に感謝…








End
 

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