【短編】
□君の涙
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「…っ…嫌いだっ…あっきおなんって」
ほら、やっぱり俺のことを名前で呼んで…先程まで押し返そうとしていた手はただ添えられるだけになっていて…………ったく…バカ
「……お前ってさ…俺よりずっと世間体良くて…俺なんかとは全く似てねぇって思ってたけど……違うんだな?」
「……え?」
円堂が初めて顔を上げて視線が合う。あーあ…また泣いてんのか?…もったいねぇな…ちゅっとその目元から溢れた雫を舐めとるとびっくりした顔して目を見開いているその目と視線が合う
「俺と一緒でお前は意地っ張りの天の邪鬼なんだな」
そう言ってやるとぶわりと目の端に涙が溢れてきてちゅっちゅっとその水分を吸い取ってやりながら
「…何にもわかってなくてごめん…こんな俺だけど…もうお前に辛い思いさせねぇように頑張るから…んっ…っ…俺の傍にいてくれ」
「……っ…あきっお…じゃあ…もう…浮気しないで?俺だけを見てくれよ…俺も明王のことだけっ見てるからっ!」
そう言ってやっと唇と唇を合わせたと思うと二人で暫らくその場で抱き合い朝日が高く昇まで唇は離れることが無かった
END