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□朱い紅葉が散ったとき
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結局俺は、
なんだか断れなくて、
――いや、単に。
好奇心が勝ったのかもしれない。
そいつの元へと
走っていったんだ。



差し出された手は、
男にしては、綺麗すぎて
その手をとると、
懐かしい温もりを感じて
俺はそっと息を吐く。

柔らかくて、

優しくて、

暖かくて、



「………」



ただ無言でその手を
強く握り返すと、
ぎゅっとそいつも
俺を強く握った。





そして……


記憶は……


途切れたんだ……。
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