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□束縛転じて[短編]
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動かせない。

鎖に繋がれた四肢。
切り傷の残る身体。
光の差さない室内。

全てが現実だった。

口内に広がる鉄の味は、切れてしまった血管のせい。
声が出せないのは、捩じ込まれた轡(くつわ)のせい。
身体中が痛いのは、刻み込まれた「印(しるし)」のせい。


数日前までとは、全てが違う現実。


足音が聞こえ、ドアの開く音がした。
夕日色の髪をした少女がピコの目の前に立つ。

「おはよう、ピコくん。昨日は良く眠れた?」
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