VOCALOID
□大罪の果てに。〜強欲〜
1ページ/11ページ
エヴィリオス歴983年。
広くはない部屋に2つの影があった。
片方は、USE暗星庁の判官長、ガレリアン・マーロン。
そしてもう片方は傷害事件で起訴された名のある貴族。
「で、貴方が訪ねて来た理由は何でしょう?私は見ての通り忙しいのですが」
ガレリアンが冷たく言い放つ。
「まぁ、そう怒らないでください。…最近商売が繁盛しておりましてね。これは少ないですが、迷惑を掛けるお詫びです」
貴族が何も書かれていない分厚い封筒を差し出す。
ガレリアンは封筒を受けとると中身を確認し、薄く微笑んだ。
「貴方のように賢い人が罰せられるのは、この国にも不利益ですね。私が取り計らってあげましょう」
「本当ですか、有難い」
貴族の表情が弛む。
「但し」
ガレリアンは冷酷な笑みを浮かべていた。
「これは手付金です。裁判が終わったら、同額納めに来なさい。」
「そ、そんな…」
「払えない額ではないでしょう?罪を背負うよりは良いと思いますが。」
「…わかりました、必ず」
「本当に、物分かりのいい方だ」
ガレリアンはうっすらと嘲笑を浮かべた。
後日、その貴族は証拠が不充分であるとして罪を免れた。