VOCALOID
□ある日の午後。[短編]
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近所のスーパーに夕食の材料を買いに行った、買い物帰りの午後。
短い帰り道を君と手を繋いで歩いていく。
「今日はお魚安かったし、夕食は煮付けだね」
君は何も言わない。
無言が肯定であると理解したのはいつだったか。
無口な君が発した言葉は
「うん」と「そうだね」の2つだけ。
2人でいることが当たり前になってきた毎日。
最初は戸惑うこともあったけれど、言葉が無くなって意志の疎通は出来ると気付いた。
なにより、握る手のひらがこんなにも温かい。
それもいいなって思ったんだ。