闇の末裔

□Kiss kiss kiss.
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「巽さん…。」

段々と、邑輝の人形を思わせる秀麗な顔が近付いて、来るーー。


唇と唇が重なる…。

白銀を纏う邑輝のイメージと違い、柔らかく暖かいそれは、巽の唇にしっとり馴染み、潤いを与えていくーー。


眉間を寄せ、もっと深くと角度を変えて、唇を貪る表情が艶っぽい。
閉じた目蓋を彩る、睫毛が思いの外長い事に気付く。


巽の口腔に侵入した邑輝の舌は、巽の舌の根元を愛撫し、歯茎を思うがまま蹂躙した。

暫くキスを堪能して満足したのか、邑輝の顔も仄かに上気し、蕩ける様な表情を見せた。


トロリと、潤んだ銀の瞳が開くーー。


!?


眼を見開いて驚く。

その様が、普段取り澄ました邑輝とかけ離れていて、可笑しくなってしまった。



眼を開けたら、キスを受動的に受け入れている筈の相手が、眼を開けて、自分の表情をまじまじと、至近距離から見ていたのだ!


「…あまり、いい趣味とは言えませんね。」

唇を離して、ばつが悪そうに話す邑輝に、
「たまには良いじゃありませんか。こういうのも…。」

余裕の表情で答える。

「では、今度は私に魅せて下さい。貴方が私を感じている様子を…。」



再度、邑輝の唇が近付いて来たーー。




おしまい

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