闇の末裔
□悪戯
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「もうっ!やめ…っ」
切なげな声が、闇の中に溶けていく。
灯りを閉ざした漆黒の闇の部屋の中で、絡み合う二つの裸体ーー。
荒い呼吸と、擦れ合う躰の熱気と湿度が、部屋の中に充満している。
終わるともない愛撫を続ける指から、巽は逃げる様に躰をくねらせる。
邑輝は、逃がしはしない、と巽に覆い被り、躰を更に密着させる。
「もう…、ゆるし…あぁ…!」
もう何度目の懇願だろう。
巽は時間の感覚が解らなくなっていた。
意地悪な邑輝の指は、巽の二つの胸の頂きを弄って離れない。
先ほどから、ソコばかり責め立てて、他には指先ひとつ触れてはくれないのだ。
巽自身は、既に硬く勃ち上がり、先端からは止めどなく蜜が溢れ出している。
最奥は収縮し、熱くて硬い確かな物を求めているというのにーー。
躰中を、狂おしく巡る熱に犯され、巽の強固な理性が、喰い破られていく。
「お、ねがい…だから…」
「何が‘お願い’なのですか?」
邑輝は意地悪にも、更にその先を促す。
‘分かっているくせにーー。’
巽は悔しくて、くちびるを噛みしめ、なんとか熱をやり過ごそうとするが、意地悪な指が意識をソコへ引き戻す。
「!」
摘まんだ乳首を、緩く、強く擦る。
充血して赤く色付いたその先端を、爪で引っ掻いたり、弾いたりする。
その刺激は、ダイレクトに、巽自身に現れた。
「ほら、もうこんなにして。欲しいんでしょう?
貴方はとても淫乱で、感じやすい躰をしているから…。」
違います、と頭を左右に振って否定する巽に、追い討ちを掛ける様に、邑輝は声を掛ける。
「都筑さんも、感じやすい躰でしたが、貴方も相当ですね。」
巽は‘都筑’の言葉に、強く反応した。
自分という人間を、試され、玩ばれているように感じられ、快楽に潤んでいた蒼い眸は、怒りにキツい光を放ち、邑輝を睨んだ。