眼鏡
□ピストル
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「ただいま帰りました、御堂さん」
克哉がシカゴの本社から帰ってきた。
半年にも及ぶ出張…。
克哉の恋人であり、上司である御堂は寂しく思いながらも、克哉の仕事での成長を願って快く送り出していた。
『あなたと同じ場所に立ちたい』
『あなたと同じものを見たい』
それは御堂も同じ想い。
あなたの隣で、ずっと一緒に居たいと願っていたから…。
帰ってきた克哉は、すこし日に焼けたと思わせるくらいで、はにかむその表情も、御堂を愛おしく見詰める視線も、以前の克哉と変わったところは見受けられない。
無事に帰ってきた愛しい恋人の、変わらぬ姿を見て、安堵の気持で応える。
「おかえりなさい、克哉。」
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「本当にあの時は、どうなるかと思いました。」
「いや、君のフォローが適切だった、だから以前に比べて良い結果が得られたんだ…。」
ワインを片手に、今回の出張話を肴に飲み交わす…。
二人の時間は久々で、すぐにでも抱き合いたい気持ちはあったが、少し照れくさくて……、
初心に帰ったような気持だった。
それでも…
ワインも無くなり、会話が途切れてしまえば、熱の籠った視線が絡み合い、どちらからとなく寝室へと向かった。
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