眼鏡
□オレンヂ・ジュース
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朝、御堂はオレンヂを切り、ミキサーではなく手搾りで、フレッシュジュースを作る。
毎朝の日課。
リズミカルに、半分にカットしたオレンヂを押し付け、グイっと捻る。
ギュ、ギュっと果汁と果肉が受け皿に溜まっていく。
オレンヂ特有の柑橘系の香りが辺りに漂う…。
!!
突然、脳裏に浮かぶのは、あの時のあの光景−−。
監禁された中で、出される朝食。
平皿に注がれたソレ。
『犬のように飲む事を強要されたっけ…。』
次々と連想ゲームのように思い出される、あの時の記憶…。
止められない体の震えを、喉に込み上げてくるすっぱい酸を、胸を締め付ける焦燥感を…。
すべて振り払うように、オレンヂを搾る…。
佐伯の好きなオレンジヂュース。
だけど、私の大嫌いな生のオレンジヂュース。
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