闇の末裔

□Terrible Two
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「んっ…、コーちゃんが起きてしまいます。」

邑輝の動きを制する様に言うが、逆に邑輝に唇を奪われ舌を絡め取られる。
「はぁ…、いけませんこんな…、あっ!」

やっと長い口付けから解放されたかと思うと、今度は悪戯な指が、巽の敏感な所を責めたてる。

「大丈夫、良く眠ってますよ。貴方が声を出さなければ大丈夫です。」

二人のベッドの横に、並べておいた幼児ベッドに眠るコーちゃんの気配が動かないのを確認する。

「そんな…、無理です!んんっ!」

再度口付けながら、指は巽の最奥を刺激する。

「もう…!止めて下さい。」

指の動きを止めようとした腕を、逆に邑輝に捕まってしまい、身動きが取れない。
「…っ、」

高まった身体を、邑輝の彩の薄い瞳に余すとこ無く見詰められて、余計に身体が火照ってくる。
血が集中し、脈打つ。
堪えきれずに、腰を揺らす巽の姿に満足して、
「何処を触って欲しいんですか。」

「…。」

「言わないんですか?いいですよ、ずっとこのままでも。」

「…。」
巽の、邑輝を見る瞳が、目一杯訴えている。快楽と知性の狭間でもがき、‘言いたくてもどう言っていいのか分からない’と。


「ふふ、そんなに可愛い顔をされては、此方も我慢出来ないですよ。もっともっと、虐めてあげたいところですが、また今度にしましょう。」

そう言う邑輝の、巽に向ける眼差しも、指も、まるで、幼児を慈しむ母の様に優しかった。


「おい!起きろ!」

幼児の声の、はっきりとした口調に違和感を覚えて、ガバッと起き上がる。

「コーちゃん…?」
目の前には、昨日まで片言でしか喋らなかった幼児が、宙に浮いていた。

「うむ、親父にそろそろ仕事をさせんといけないからな…、名残惜しいが還るとする。昨日の夜は愉しかったぞ。飯も美味かった、礼を言う。」


!!!

一気に血の気が引いて、口を開けて何かを言おうとするが、言葉がでない。

「去らばじゃ!!」
そう言って、消えた子閻魔に向けられていた視線が、邑輝に移る。

「貴方、知ってらしたんですか?」

「貴方こそ、気が付かなかったんですか?w」

想像してた通りの展開で、ニヤリッと笑ってしまった。

‘鈍いにも程がありますよ巽さん’

悔しそうに俯く巽に、更なる追い討ちをかける。

「人格は違っても、閻魔と同じ魂です。全部観られてたでしょうね。もちろん、閻魔とツーカーな都築さん達にも話はいってるでしょうね。」



撃沈…。




シーツにくるまって拗ねてしまった恋人の、機嫌を直すという、めんどくさくも愉しい作業に没頭するのであったーー。



    おしまい
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