闇の末裔
□契約
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「なんだか、飽きちゃったなぁー…。」
手足の拘束を解かれ、身仕度をしていた手が止まる。
ベッドの上で寝そべっていた都筑が、意味深に漏らした言葉ーー。
後に続くだろう言葉に、居たたまれずに、巽は眼を伏せた。
***
都筑とは、心は伴わない、躰だけの関係だった。
ペアを組んで暫くした頃、巽の性癖に気付いた都筑に、巽自ら持ち掛けた事だった。
普段の取り澄ました顔とは別に、夜の情欲の波に溺れていく巽。
普段の顔が潔癖であればあるほど、夜の巽は淫らに、恥知らずになっていく…。
元々、そういった方面に疎く、ストイックだった巽が、己の本性に気付き、目覚めたのは、影使となったところが大きい。
師である影使が、最後に言った言葉が残る…。
「影は自分の中の闇を映し出す鏡。光が強ければ、闇も濃いーー。」
影使になった事で、己の中に隠された性癖に気付いた。
一度解放されると、歯止めがきかなくなった。
巽の際限のない欲望を見て、都筑は巽とのペアを解消した。
これからの自分の置かれた状況に、不安な表情を見せる巽に、こう言ったのだ。
「飼い主として、後がまはちゃんと見つけてあげるよ。」
都筑は亘理に引き合わせた。