S/W

□彼の人を讃える詩
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好き、という気持ちは棄てられないなぁとおもいました。
彼の人の生きた証、生きた痕跡なんてとても不確かだけれど、私には信じることしかできないんです。当たり前、なんて言葉で済ませるのは簡単、そしてなにもかも棄ててしまうのはもっとかんたん。他の人にとっては、ですけどね。

私はと言えば、其の証、手に取ることなど出来はしないものの片鱗に触れるだけでしあわせなんだと思います。たとえ会えなくても、確実な証拠とは言えないものでも、とりあえず信じるに値する何かそれさえあれば、たまらなく嬉しくなる。我ながら尋常じゃないとは感じます。

あぁ、生きていたんだ、あの人は、本当に。

妙な話ですけど、そう考えることが、考えられることが、涙が出るほど幸せなんですもの。泣きながら笑うということが不器用な私にさえ出来てしまいます。

そして同時に、やっぱりあまりに高すぎる壁に切なさも感じることも確か。どうしようも、ないのです。此ればかりは。住む世界が違う、端的に言えばそういうことなんですから。

他の人は、侮蔑するかもしれない。これほどの想いには。強くて、強くて、強すぎて、自分でさえ制御しきれないのです。だけど私は誇りに思います。今も、これからも、恐らく消えることのないこの深い愛情を。素晴らしくて、心を捧げたくなるほどの彼の人を。




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