S/W

□太陽の新生
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 その日、わが友人ハワードの行動は明らかにおかしかった。彼は街医を開業している男で、僕が借りている下宿のすぐ近所に居を構えている。けれども彼は診療をしているとき意外はほとんどいつも、僕の下宿に入り浸っている始末であった。
 もちろんハワードは独り身である。人がよすぎるためか恋愛に不可欠な駆け引きとやらに負けどおしのようだ。かくいう僕も、独身を貫いているのであるが。
 窓の外では純白の雪が舞い始めていた。このところ部屋にこもりきりだったために、外界での出来事にはとんと無頓着になっていたが、はて、今日は何日だったろうかとカレンダーに目をやる。そこではじめて、僕は自分が12月のはじめから3週間余りも部屋から出ていないことに気がついた。僕は何日間か食事を抜いても平気なのだけれど、ハワードがきちんと食べなければと言って何かしらの食料を持ってくる。なるほどこの3週間書籍と暖炉などしかない我が書斎に在っても生きているはずである。



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