Kanon

□Kanonで裁判
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「はぁ…はぁ……」

「どうして俺がこんな目に……」

「どうすれば……」

「そうだ……アイツが…」

「アイツがやったことにすれば…」





8月10日 午前9時
水瀬家 玄関前

「みんな集まったか?」

 人数を確認する。

 …6,7,8…よし、全員いるな。

 今日からみんなで旅行に行こうということになった。

 まぁ、事の始まりは名雪の当てたクジなんだが…

 商店街にあるクジ。

 それで、なんと一等賞を当てたのだ、なんとも微妙な運の使い方をしたもんだ。

 しかもその景品が無人島に立てられた別荘に3泊4日行けるチケット。

 しかも、人数は10人までという。

 怪しすぎるが使わないと損なのでみんなで行くことになった。

 メンバーは、俺、名雪、真琴、香里、栞、北川、舞、佐祐理さん、の計8人。

 秋子さんは仕事の都合でいけないらしい。

「気をつけて行ってらっしゃいね」

 そう微笑んではいたもののどことなく心配そうに見えた。




同日 午前9時26分
クルーザー乗り場

「ここから行くわけか」

 数人乗りのクルーザーが止めてある場所。

 その場に、

「おはつにお目にかかります。私、伊田と申します」

 執事らしき人が立っていた。

「今回皆様が行かれる建物は、我が主の別荘でございます」

「皆様の面倒を見るようにと主よりおうせつかっておりますので、どうぞよろしくお願い致します」

 皆が唖然としている中、沈黙をきったのは佐祐理さんだった。

「はじめまして、倉田佐祐理といいます」

 自己紹介をすると、続けて俺達のことを紹介してくれた。

 さすがだな。やっぱり慣れてる人は違う。

 伊田さんは一度深々とお辞儀をすると

「別荘まで二時間ほどかかりますので、お忘れ物などありませんようご注意ください」

 そういってクルーザーの方に歩いていった。

 そして順番にクルーザーに乗り込んでいき

 無人島に向けて出発をした。




 同日 午前11時32分
無人島 入り口付近

「あちらに見えるのが、今回皆様がお泊りになられる別荘でございます」

 そういって少し遠くに見える別荘を示した。

「結構、遠そうですね」
「歩いて15分ほどかかります」

 聞かれることが分かっていたのか、俺の言葉への返事は早かった。

「それでは、参りましょうか」

 伊田さんの先導にみんながついていく。

「…祐一…」

 と、後ろから舞に声をかけられた。

「どうしたんだ?」
「…嫌な予感がする」

 心配そうに目を伏せる。

「どうして、そう思うんだ?」
「…そんな気がする」
「大丈夫だって。心配すんな」
「…うん」

 そう言ってはみたものの、俺も実は嫌な予感がしていた。

 その予感が当たることになろうとは、思ってもみなかった。

 いや…思いたくなかった。

 そうだろう?普通…。




 同日 午前11時47分
無人島 別荘 玄関ホール

 一通り、部屋を案内してもらい、再び玄関ホールに戻ってきた。

「お部屋の方は一人一部屋ありますので、お好きな部屋をお選びください」

「鍵の方は入り口に刺さっております」

「それでは、私は昼食の準備をしてまいりますので」

 失礼します。と頭を下げてリビングの方に歩いていった。

 途端、みんな肩の力が抜けたようにハァと息を吐いた。

「なんだか、緊張しちゃったよ…」

 名雪の言葉に数名が頷く。

「あははーっ、皆さんそんなに固くなることありませんよー」

 佐祐理さんはいつもと同じ調子だ。

 やっぱり慣れてるんだろうな。

 それから、皆で部屋を選んだ。

 部屋の場所は、

 一階の左端から名雪、真琴、香里、栞、空き部屋。

 二階に上がり同じく左から、北川、俺、舞、佐祐理さん、物置部屋となった。

 昼食をとって、皆で遊び一日目は何事もなく終わった。

 事件が発覚したのは、二日目の朝のことだった。




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