Kanon

□約束
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「お待たせしましたー。ごゆっくりどうぞー」

 テーブルに置かれたパフェを見て一言。

「でかい……」

 高さは30センチといったところだろうか…

 舞が頼んだのは店で一番大きいといわれているデラックスジャンボパフェ。

 あまりの大きさにどこから食べていいのか分からないのか、
 舞はスプーンをいろいろな方向からパフェに向けていた。

「早く食べないと溶けてドロドロになるぞ」

 俺の言葉に、はっとして一番上のクリームにスプーンを刺した。

 その拍子に上に載っていたバナナがぽとりと机の上に落ちる。

「………」
「………」
「…大きい……」
「あのな…」

 俺は机の上に落ちたバナナを拾って口に運んだ。

 口の中にクリームの甘い味が広がる。

「ん、うまい」

 クリームのついた手を拭いて、舞のほうを見ると

 少しずつパフェを食べていっていた。

 …しかし…このスピードで食べてたら間違いなく下のほうが溶けるぞ

 舞はスプーンに乗るくらいのクリームをすくっては口に運んでいた。

 
 
 
 
 
 それから何分足っただろうか… 

 ふと、外を見るとちらほらと雪が落ちてきていた。

 そういえば午後から振るっていってたっけ…。

 まぁ、こんな街じゃあ冬に雪が降らないほうがおかしいんだけど…。

「なぁ、舞」
「何…?」
「お前ってさ、この店に来るの初めてか?」
「ぽんぽこたぬきさん…前に一回来た…」
「誰と?」
「…佐祐理と………」
「そっか…」

 舞のほうを見るとパフェを食べ終わっていた。

 会計を済ませて店の外に出ると、冷たい風に吹かれ体を震わせた。

「大分、寒くなったな…」

 店に入るときは結構暖かかったのに…

 …っていうか、こんな寒いのによくパフェなんか食えるな…

 ……そういえば…

 何で舞にパフェを奢る約束したんだっけ…?

「あれー?祐一さん、こんなところで何をされてるんですか?」
「あ、佐祐理さん。いや、ちょっと舞の奴にパ…むぐっ…」

 佐祐理さんと話していると後ろから舞に口を押さえられた。

「舞?何してるの?」
「…何でもない……」
「何でもないわけあるかっ、何がしたいんだよ。お前は」

 …あれ?こんな場面、確か前にも……
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