Kanon
□今この時、この場所で…
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「あー…眠れない…」
布団に入ったのはいいが眠れずに何度も寝返りを打っていた。
「………」
結局ベッドから出ることにした。
背伸びをしてベランダに出ると冷たい風が頬を撫でた。
空に目を移す。
「…綺麗な…空だな……」
誰かに同意を求めるようにいう。
静かな夜。
明るい夜。
思い出す。
初めて栞にあった日のこと。
雪に包まれた道。
「そういえば、あゆのせいで雪塗れになってたっけ」
あゆが木に激突して降ってきた雪を栞がかぶった。
思い出してははと笑う。
それから、中庭。
毎日、栞がアイスを食べていた場所。
カレーやお弁当を食べた食堂。
待ち合わせ場所の駅前。
一緒に遊んだ商店街。
もぐらたたき0点っていうのは始めて見たな。
ふと、拗ねた顔の栞が目に浮かぶ。
『そんなこという人、嫌いですっ』
っとそっぽを向く、そんな姿。
そして………
…あいつ、またあそこにいるかな…?
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