Kanon

□Kanonで裁判
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「祐一!祐一!起きてよ!大変なんだよ〜!」

 ゆさゆさと体をゆすられている。

「んー…名雪が俺より早く起きている…確かに大変だな」

 これは大事件だ。

「そんなこと言ってる場合じゃないよ!」

 名雪のあわてようは尋常ではなかった。

 まぁ、ふだんがぽけぽけしてるから、ってそんなことはどうでもいい。

 今にも泣き出しそうな名雪を宥める。

「どうしたんだ。とりあえず落ち着いて話してみろ」
「香里が…香里が…」
「香里がどうしたんだ?!」

 答えないまま、名雪は泣き出してしまった。

「ここにいろ!すぐ戻るから!」

 俺は寝間着のまま部屋を飛び出した。

 香里の部屋は、確か…

「祐一さん!」

 階段を下りようとしたところで声をかけられた。

「佐祐理さん!いったい何があったんですか!」
「とにかく来てください!」

 そうして案内されたのは、一階の端にある空き部屋だった。

 その部屋の中央で、美坂香里が死んでいた。








 8月11日 午前8時12分
別荘 リビング

 殺害方法はナイフによる刺殺

 死亡推定時刻は昨日の午後10時から11時の間。

 外部犯の可能性はゼロ、なぜなら

「すごい、嵐だな…」

 そう、この別荘は昨日の晩から誰も入ってくることは出来ないのだ。

 あの後、別荘のあらゆる場所を探したが、

 この別荘のはやはり俺達しかいないようだった。

 そして…。

「わ、私じゃ…ないです…」

 空き部屋の鍵が栞の部屋から発見されたのだった。

「本当に、私何もしてないです!」

 栞の言葉に皆黙ったままだ。

「ゆ、祐一さん…私……」
「分かってる。栞じゃないことは分かってるよ」

 誰かが栞に罪を着せたんだ。

 栞が香里を殺そうとなんかするはずない。

「どうだろうな」

 北川は睨みように栞を見ている。

「そう、ですね。鍵も出てきているわけですし…」

 佐祐理さんも栞を疑っているらしい。

「そんな……」
「待ってくれ。栞がそんなことするはずないだろう!」

「それじゃあ、無実だという証拠があるんですか?」
「それは……」

 ない。俺は何も知らない。

 香里が死んでいることも朝まで気がつかなかった。

 ならどうする?

 決まっている。

「今から見つけてやる!」





証拠品

ナイフ…犯行に使われたナイフ。指紋はついていない。

死体の情報…胸を指されて死亡。死亡推定時刻は8月10日の午後10時から11時の間

鍵…栞の指紋が付着している。栞の部屋から発見された。





 期間は嵐がやむまでの間。

 警察が来たらアウトだ。

 それまでの間に、情報を集める。

 そして、必ず証明してみせる。

 栞の無実を…。



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