long novel

□smooch!02
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「あーいてぇ。」


沖田は腰を摩りながら座布団の上に座りなおした。
女になってもう半日、胸が重くて肩が凝るなぁとか、男と違った力の入らなさに驚いたり、長い髪の毛が鬱陶しかったり、そんなものに慣れたけれど腰痛には敵わなかった。何せ今日は副長の事務仕事を全て任されている為書類の量も沖田が今までやってきた以上に多い。
筆を持つ手も疲れきってしまって、沖田は筆を投げ出してぶらぶら手を振った。
こんな仕事もやらされて朝っぱらから襲われて、女になってすぐに始めてを奪われて沖田はとても不機嫌だった。何て言ったって畳の上でずかずか攻められたから腰が痛くてたまらない。それを摩りながら立ち上がると、一つに束ねていた髪の毛の紐がするりと落ちてしまった。
邪魔だからと言って縛ったはいいものの、沖田は不器用だった。


「何か仕掛けてやろうかなぁ。」


もう落ちてくる髪の毛さえ苛ついて、沖田は部屋の中をぐるりと見渡す。どうせすぐに戻ってくるだろうから、トラップでも仕掛けてやろうかとバズーカにしようかと思索する。
それを邪魔するように、屯所の奥の方からがやがやと騒ぎが聞こえてきた。部屋を出て確認するわけにも行かず、沖田が扉へと向かうといきおいよくそれは開いた。
入ってきた男は後ろ手に扉を閉めると、ひとつ息をついて沖田に気付いて目を見張った。


「ちょっ、てめぇなんなんだ!」


沖田が鋭く怒鳴りつけると侵入者の男は驚いて逃げの姿勢をとったが、沖田の姿形を確かめるように下から上へと見ると、口元につけた黒いマスクを下ろした。そして口元を歪めながら近付いてくる。沖田は身構えるものの、刀を腰にさしてはおらず、どうするかと見回した。遠くからばたばたした足音が聞こえてきたので「こっちだ!」と怒鳴ろうとした口を、男の大きな手で塞がれた。向こう側では「侵入者だ!」「武器庫の方へいったぞ!」「いや局長室だ!」と荒々しい怒鳴り声が聞こえてくる。沖田はどうにか振り払おうとするものの、男は沖田を抱えるようにして口を押さえつける為、身動きもとれなかった。
ただ声の少ない情報でわかったのは、この男が屯所内へ入り込んできた侵入者であり攘夷志士であると言う事だ。だが屯所内の隊士に知られていると言う事は、何かをしている所を発見されたのだろう。その点馬鹿な男だ。


「屯所内にこんな別嬪な女がいるとなぁ…お前なんだ。局長か副長にでも囲われてんのか。」


からかっているのか探りをいれているのか、多分前者だろう。沖田は自分が女の姿である事を思い出して答えに詰まった。そうだ、男の姿ならこんな男に捕まる事などないし、振り払えも出来る。
そうして二つ思い当たる事。それは此処が沖田の私室であると言う事。
しかも今日は近藤と土方の計らいで部屋には近付かないように申し伝えられている。そもそも攘夷志士の目的が真撰組の情報であるならば、私室へと入り込んでくるなんて思わない。隊士が探しに来ると言えど発見は遅れる。
そして二つ目に、女が屯所内にいる事。男所帯である事は周知の事実であり、いかような理由があろうとも局中法度を犯しはできない。更に言えば一番隊隊長の沖田総悟が女になったと知られれば狙われるのは必須。こいつを仕留められない現状では圧倒的に沖田が不利であった。
男は無言を肯定とみなしたのか、調子づいたように合わせ目からするりと胸の中へと手を差し入れた。


「何だお前下着もつけてないのか。夜の世話しかしないなら、そんなものなのかな。」
「っ離せ!」
「気性の荒い女だな。」


大きく怒鳴る声にもう驚きはしないで、男は沖田の腰布を外すとそれで両手首を後ろに回してきつく縛った。
そこまですれば男が何をしようとしているのかがわかる。沖田は近藤に貰った女用の下着と衣服も着ないで寝巻き姿でいた事に後悔をした。腰布を外されれば前がはらりと開いて、できたばかりの胸が露になってしまう。
男は背中から抱き込むようにして沖田の両胸を掴んだ。そしてそれをやわやわもみながら、沖田の後ろ手に自分に滾った自身を擦りつけた。
(こいつ、もう勃ってやがる…。)
沖田は腹立たしく思いながら、握り潰してやろうかと思った。だが自分の体も触られているので、抵抗すれば何をされるかわからない。もう女と知られていいから誰か隊士が来ないかと気が焦る。


「キスマークなんかこんなにつけやがって…やっぱり慰み者か。それにしては…いい女だな。こっちの具合はどうなんだ?」


そう言いながら片手で乳首を擦りながら、もう片手は下着の中に入り込む。何故トランクスを穿いているのかは言及しないまま、秘所へ指を当てられる。
濡れていないそこに気を悪くしたのか、男はちっと舌打ちをしてから沖田の体を反転して壁へと叩き付けた。そしてトランクスを引き摺り下ろして薬指の先っぽを入り口に押し付けながら、沖田の顔をうかがった。
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