●歪みの国のアリス●

□好き?
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「チェシャ猫、私の事好き?」


月がとても綺麗な夜に、私はふと、聞いてみたくなって、膝の上にいる首だけのチェシャ猫に問い掛けてみた。

「もちろん、アリスが大好きだよ」


やっぱり…。

分かりきっていた返事だったけど、何だか…満されない。

「それは私がアリスだから?」

「アリスはアリスだよ。僕達のアリスは君1人」

「そうね。そうよね…。でもそれだから私の事が好きなの?私がいないと貴方達が存在しないから?」


「……………」

猫は黙ってしまった。

相変わらず口はニンマリで、何を考えているのか、さっぱり判らない。


……何も考えてないのかも…。

真面目に悩んだ私が馬鹿だった。

当たり前の言葉じゃなくて、猫が考えて、気持ちを聞かせて欲しかっただけなのに。



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