●歪みの国のアリス●
□scramble
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「アリス、僕も無口だよ」
「は?」
唐突に何を言い出すのか、この猫は…。
「それにいつもアリスファーストだよ」
何それ……。
「料理はした事ないけど、僕自身美味しいし問題ないよ」
一瞬辺りが静まり返った。
「……まさか、ビルさんと張り合ってるの??」
「張り合う?………別に」
「嘘。どう聞いたって張り合ってるじゃない!」
「猫は張り合わないよ」
「むしろ猫は張り合うタイプよっ」
華麗にツッコミを入れる私に、ビルはクスリと笑った。
「チェシャ猫はアリスが私を褒めるから嫉妬したんだね」
「えっ…嘘」
まさかそんな…。
私はてっきり出来の良いビルさんに嫉妬してるんだと、思ってたのに。
私が褒めたから嫉妬したって事?
「チェシャ猫は昔からアリスに対しては独占欲強かったかですからね。ウサギも困っていましたよ。っと言っても皆アリスを独り占めしたくてたまらなかったみたいなので、猫だけって事はないんですけとね。もちろん、私も」
「ビルさんも…?」
「はい」
何か、とても顔が熱い。
嬉しい様な、むず痒い様な…。
そんなほのぼのな雰囲気に私は心地良さを感じた。
好かれるって、とても幸せ。
そう思いながら、私はシチューを口に運んだ。
ん!美味しい♪
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