キリリク

□1200hit(紅愛さまリク)
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『夢雪』


その日、僕は夜中に突然目を覚ました。
明かりの消えた部屋は真っ暗で、正確な時間はわからないけれど、おそらくは日付がかわってから1・2時間…といったところだろうか。
とにかく、朝まではまだかなりの時間があるはずだ。
暗い部屋の中で、外からの風の音がひどく大きく聞こえた。
昨日から続いている吹雪は、しばらくぶりの大吹雪となった。
博士から聞いた話では、この雪と強風は明日の午後まで続くらしい。

(吹雪の音がうるさくて起きちゃったのかなぁ)

再び眠ろうと思っても、完全に目が覚めてしまったようで眠気などおこらない。
しばらくベットの中で寝返りを打ったり、無駄だと知りつつも羊を数えてみたりしたけど、やっぱり目はさえたままだった。
数分で寝るのをあきらめて、ベットから起きあがった。

(だめだ、眠れない……少将は寝てる…よね?)

僕は側に置いてあったコートを羽織り、少将を起こさないように静かに近づき顔をのぞき込んだ。その寝顔はいつもの真面目な顔ではなく、どちらかというと僕と話をしているときの優しい表情に近いものだった。

「どんな夢見てるんだろ。少将のことだから、夢の中でも仕事してそうだなぁ」

―――そういえば。
僕もさっき夢を見た気がする。
(何の夢だっけ?)

夢というのは記憶にない事や、希望や願望、ストレスなどをとりまぜて右脳に映像を映し出す活動の事だと、以前本で読んだことがあった。
レム睡眠の時は脳が働いているから、そのときに僕たちは夢をみているらしい。
僕は夢の内容を思い出そうとするけれど、すっかり忘れてしまっているようだ。
忘れてしまったものは仕方がないから、諦めてベットに戻ろうとした時……―
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