キリリク

□2500hit(琉利さまリク)
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『空と海よりも透明なこの世界で…』


朝。
目が覚めると、少し困ったことになっていた。

目を開けると、あたりはいつも通り暗かった。
太陽の光を失った大地では、夜寝るときはもちろん、朝目覚めても部屋は暗い。
部屋の照明をつけたまま寝る人もいるが、経済的とはいえないだろう。
目覚めてすぐの頭でそんなことを考えながら、しばらく自室の天井をボーっと眺めていた。

そしてある程度覚醒して、自分のすぐ隣でまだ夢の世界にいる恋人に目を向ける。
先日は遅くまで仕事をしてから二人で話をしたので、実質…私も彼もあまり眠っていない。
いつにもまして幼い顔をして眠るシャルティエは、まるで抱き枕か何かのように私の腕に抱きついたまま、規則正しい呼吸を繰り返していた。
別にイヤなわけでも迷惑でもないので、ずっとそのままの状態。

「さて…どうしたものか……」

起きようと下手に動いてしまっては、せっかく気持ちよさそうに眠っているシャルティエを起こしてしまいかねない。
毎日訓練やら仕事やらで疲れ切っている彼には、少しでも長くゆっくり休んでもらいたい……
私自身も、時間の許す限りいつまでもこうしていたいのだが、残念ながら今日はそいうわけにはいかないだろう。
今日二人はそろってディムロスの訓練に呼ばれているのだ。
昨日の夜に何を思ったのかいきなり部屋に来て、今日の訓練に参加しろと言われた。
シャルティエはかなり驚いていたが、私の方はもっと驚いた。
毎週一度は必ず彼に剣術を教わっているシャルティエなら、いきなり呼び出されても不思議はない。
だが今回は私も一緒に来いといっていた。
何をするのかは分からないが、二人そろって遅れてしまっては後が怖い。
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