テイルズSS

□ソーディアンマスターに10題
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1『運命の出会い』

アクアヴェイルからヒューゴに連れられてこられたのは、セインガルドという都会だった。
今までいた風景とずいぶん変わった家並みや様式から、とても遠くに来たんだと実感させられた。
その町の中でも特に大きくて立派な建物が、ヒューゴの家だった。
そこに、僕の次のマスターがいました。

初めて見たときは、その表情に変化がなくて違和感があった。
でもそれは、きっと傍にヒューゴといたからで、一緒にいてすぐに普通の子供のように笑うことが出来ると知った。
特にマリアンというメイドと話をしているときは、それは可愛らしい笑顔で、年相応の顔に戻っていました。
そんなリオン坊ちゃんを見ているうちに、僕も話してみたいという感情が強くなった。
いきなり僕が話すとビックリするんじゃないかと思って、数週間は様子を見ていようとした。
それから二・三日黙っていたけど…僕はどうも、我慢というものが苦手みたいだ。
どうしても話してみたくなって、部屋に坊ちゃんが一人でいる時に何となく話しかけてみた。

「初めまして、リオン坊ちゃん」

誰もいない部屋から急に声が聞こえて、リオン坊ちゃんは驚いた風だったけど、すぐに手元にあった僕を手に持った。
同年齢の頃の僕自身にはなかった冷静さが、この少年にはあるのだと知って少しだけ悔しかった。
と同時に、流石だなぁと関心もした。
しばらく部屋を見渡していた坊ちゃんに、僕はまた話しかける。

「ぼくはココですよ、坊ちゃん」

声が聞こえた手元を見て、信じられないといった顔で僕をまじまじと見た。

「お前…しゃべれるのか?」
「ソーディアンなんだから当たり前ですよ〜あ、ソーディアンは知ってますよね?」
「当たり前だ、バカにするな」
「そうですよね。いつも勉強頑張ってるんですから」

数日一緒にいただけでも、坊ちゃんがすごい剣の腕を持っていることも、学力があることも、見ていて十分理解できた。こんなに小さいのに、よく頑張るなぁって何回も思った。
父親が立派だから、色んな人に期待されているのかもしれない。
その期待に答えようと頑張ってるのかな…―
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