涙雨の向う側。
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あの涙雨の向う側には、



一体



何があるのだろうか。










『涙雨の向う側。』










「……うわ…」



学校の帰り道、オレは思わず顔を歪めた。





「降ってきちゃった…」



今日は朝からずっと。
灰色の、今にも泣き出しそうな空が遠くまで広がっていたのだが、それがついに泣き出した。





「もう…傘、持ってくればよかったよ…」



今朝家を出る時、母さんが「今日は雨が降るから、傘持って行きなさいね」と言っていたのに。

遅刻するかしないかの瀬戸際、傘なんかに構っていられなかったのだ。

今日は山本も獄寺君もいないから、傘に入れてもらうことも出来ない。



…いつもは、二人とも一緒に帰るのだが、今日は山本が…勉強を教えてほしいと、嫌がる獄寺君を半ば無理矢理図書館に連れて行った。

獄寺君に「10代目も一緒に行きませんか」と誘われたけど、オレはいいやと断った。


だって…せっかく、山本は獄寺君を(半ば無理矢理だけど)連れ出せたのだ。

オレにだって、それくらい分かる。



あの二人が、お互いに…仲間とか友達とかじゃない、何か別の…特別な感情を抱き合っていることは、少し前から気付いていた。

…ただ、獄寺君はまだ無自覚みたいだけれど。



オレは、二人が想い合っているのなら、それでいいと思う。

それがたとえ同性とか…そんなものは関係なくて。



好きならば。



二人とも、オレの大切な…

「ファミリ-」…家族も同然な、オレの「仲間」だから。



幸せであってほしい。



だから、応援したい。

そう思うのだ。










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